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学生への経済的支援の現状と課題(チャプター5)

講師:小林 雅之(桜美林大学)
実施日:2021.06.19 全70分 視聴数:779回

講義の概要

我が国では2017年より所得連動型奨学金制度と給付型奨学金制度が創設されました。以後、「高等教育の無償化」は突如として国の重要政策課題となり、2007年12月の「新しい経済政策パッケージ」では授業料減免と給付型奨学金の拡充が閣議決定されました。短期間の議論の後、2019年5月には大学等就学支援法が成立して、高等教育の無償化が「限定的に」進んでいます。しかしコロナ禍にある今、教育機会をめぐる経済的支援のあり方は喫緊の重要課題となり、広く国民的議論の必要性に迫られているのが現状ではないでしょうか。
学生支援の現状と課題について、教育機会均等、学生支援の根拠、戦後日本における学生支援制度の変遷等を踏まえながら、コロナ禍対応が迫られる現在を射程に検討いただきます。

チャプター5:コロナ禍対策及び全国高校調査/学生支援の課題

チャプター5では、コロナ禍のもとで実施された学生支援の取り組みを紹介、さらに大学等修学支援法に基づく修学支援制度について、情報ギャップという視点から問題点を指摘しています。
学等修学支援法に基づく新制度のもと、コロナ禍による家計の急変に対応し、「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』の創設、国立・私立大学における困窮学生に対する授業料等減免への緊急支援などが実施されました。
新制度について、文部科学省は7〜11%程度低所得者層の進学率を押し上げたと評価していますが、修学支援新制度の認知度調査では6〜7割が知らないと回答するなど、新制度が十分に知られていないという問題があります。授業料や奨学金の選択肢が拡充されたことによって制度が極めて複雑になり、低所得層と富裕層との間に、金融知識や情報の面で情報ギャップが生まれ、高等教育機会の格差が生じている可能性があります。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成