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ポストコロナ時代と「大学」の〈時間〉(チャプター5)

講師:吉見 俊哉(東京大学)
実施日:2021.12.18 全72分 視聴数:541回

講義の概要

平成という時代は、大学改革が一過性のブームでなく常態化した時代でありました。大学設置基準の大綱化、大学院重点化や任期制の導入、評価制度、国立大学法人化といった一連の改革は、日本の大学・高等教育システムを大きく変動させました。数多くの課題が明らかになるなか、コロナ禍という予期せぬ事態はそれをより顕在化・深刻化させ、今や日本の大学は、変動どころか深い混迷のなかにあるとさえいえます。とはいえこうした混迷・困難の時代にあるからこそ、大学には自らの力で次代の大学像を検討することが求められるのではないでしょうか。そのためには、大学を「時間的存在」として捉え返すことが必要不可欠です。『大学は何処へ――未来への設計』(岩波新書)を下敷きに、未だ続く大学改革の先で、ポストコロナ時代の大学像を時間論的視座から展望していただきます。

チャプター5:人生で3回大学にはいる社会はどう可能か

チャプター5では、社会人学生の比率の低さの問題から、人生で3回大学に入る社会を実現するには何が必要かを検討しています。
日本の大学は、就活をして社会人になっていくという、ある種の通過儀礼の統治機関として位置付けられています。しかし大学の役割はそれだけなのでしょうか。人生がマルチステージ化してく中で、キャリアチェンジの装置として大学を位置付け直すことも可能ではないでしょうか。18歳から21歳を1回目に、2回目は大体30代から40代、現場経験を10年とか15年積んだ後に再チャレンジの機会として、そして3回目は60歳前後で。人生で3回大学に入ることのできる社会を実現するには、単線の人生ではなく、人生を複線化するのは当たり前という価値観を社会に行き渡らせる必要があると思います。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成