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認知科学と学習の原理・応用(チャプター4)

講師:佐伯 胖(信濃教育会教育研究所長,東京大学名誉教授)
実施日:2013.10.08 全82分 視聴数:2923回

講義の概要

私たち人間は,家庭・学校・社会でさまざまな知識・技能を学び続けています。学校でよく学び,知識・技能をよく習得して深め,大学教員となり,新しい知識を創造し,その成果を学生に教える人々もいます。学習はあらゆる場面で行われていますが,教師も学生も,「人間の学習はどのような特徴があり,どのような方法をとると効果的に学べるのか」,あるいは,「どのような教育方法をとると,学習が効果的に進むのか」について,ほとんど知識がないままに行われています。特に,大学教員は勉強好きで,専門分野の思考形式や知識習得を容易に行ってきたために,簡単に新しい事実を呑み込めない学生の気持ちに気が付かないことが多いといえます。効果的な大学教育と学習を行うために,教員と学生にとって,認知科学は,はじめの一歩です。認知科学の第一人者である佐伯胖氏から,人間の学習はどう進むかについて学びます。

チャプター4:正統的周辺参加論

チャプター4では、学習を「参加」という視点から捉える新たな学習観、正統的周辺参加論について紹介しています。学習とは「参加」であり、文化の実践に参加する、教師も一緒に参加して学習者も共同参加する、共同的な参加の中で学ぶのが本当の学びだ、とする新たな学習観=正統的周辺参加論が登場しました。ここでは「基礎・基本」が見直され、基礎をやるから先がわかるのではなく、本当にやりたいことが出てくると、これが基礎だということが自ずとわかってくるとされました。
正統的周辺参加論は能力という概念も変えました。能力は本人だけが持っているものではなく、周辺との関係の中で可視化されるものであり、まわりの育て方によってその人の能力が焦点化され、能力がどんどん見えるようになっていく。それは一人でできることではなく、道具やシンボル、他の人との協働の作業の中で生まれるとされたのです。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成