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「学問としての教育学」と教育の未来〜学び/公教育の構造転換に向けて〜(チャプター4)

講師:苫野 一徳(熊本大学)
実施日:2022.10.22 全82分 視聴数:271回

講義の概要

「よい」教育とは何か?教育学はいかに「科学」たりうるか?さまざまな現場に「役に立つ」実践理論や方法をいかに開発しうるか?これらの問いに力強く答え抜く教育学の構想を土台に、これからの教育の構想を具体的に考えていく。

チャプター4:哲学部門のメタ理論の解明ー本質学と事実学ー

チャプター4では、教育学を構成する哲学部門のメタ理論について、本質学と事実学という視点、さらに「人間の欲望の本質は『自由』である」というヘーゲルの言葉から考察を行なっています。
本質学は、物事の「意味」や「価値」の共通了解可能な本質を明らかにする学(哲学)です。事実学は、「事実」(現象)をコード(構造化)し説明(予測・制御)する学(科学)です。この考え方をベースにすると、教育学のメタ理論体系というものを作っていくことができます。これはよい教育だと確信するとき、私たちは欲望・関心相関的にそのように確信しているのであり、どういう欲望や関心に相関的に「よい」教育だと思っているのかを探っていくことで、教育の本質を明らかにすることができるでしょう。これが「現象学=欲望論的アプローチ」です。ヘーゲルの優れた洞察のひとつに「人間的欲望の本質は『自由』である」というテーゼがあります。哲学者がたどり着いた「自由の相互承認」という考え方は、私たち人間にとって精神の革命であり、学校教育の意義もまた大きいものがあります。

カテゴリ: 高等教育リテラシー形成