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学生への経済的支援の現状と課題(チャプター3)
講師:小林 雅之(桜美林大学)
実施日:2021.06.19 全70分 視聴数:602回
講義の概要
我が国では2017年より所得連動型奨学金制度と給付型奨学金制度が創設されました。以後、「高等教育の無償化」は突如として国の重要政策課題となり、2007年12月の「新しい経済政策パッケージ」では授業料減免と給付型奨学金の拡充が閣議決定されました。短期間の議論の後、2019年5月には大学等就学支援法が成立して、高等教育の無償化が「限定的に」進んでいます。しかしコロナ禍にある今、教育機会をめぐる経済的支援のあり方は喫緊の重要課題となり、広く国民的議論の必要性に迫られているのが現状ではないでしょうか。
学生支援の現状と課題について、教育機会均等、学生支援の根拠、戦後日本における学生支援制度の変遷等を踏まえながら、コロナ禍対応が迫られる現在を射程に検討いただきます。
チャプター3:学生支援の根拠教育費の公的負担
チャプター3では、教育費の負担に対する世界各国の考え方を比較、高校生保護者調査のデータを交えながら日本の特徴について検討しています。
教育費の負担について、公的負担に重きを置く北欧などの国には、教育は社会が支えるという福祉国家主義的な考え方があります。一方、私的負担には、家族主義に基づく親負担と個人主義に基づく子(学生本人)負担の2つの考え方があり、日本、韓国などの東アジア、南ヨーロッパなどは前者、アメリカ、オーストラリアは後者となっています。
家族的な考え方が強い日本では、家計負担の割合が非常に高く、2020年に実施した「高校生保護者調査」でも、「卒業までの学費・生活費は保護者が負担するのが当然だ」が8割を超えていますが、「無理する家計」の無理はいつまで続けることができるのでしょう。
カテゴリ: 高等教育リテラシー形成