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学生への経済的支援の現状と課題(チャプター2)
講師:小林 雅之(桜美林大学)
実施日:2021.06.19 全70分 視聴数:678回
講義の概要
我が国では2017年より所得連動型奨学金制度と給付型奨学金制度が創設されました。以後、「高等教育の無償化」は突如として国の重要政策課題となり、2007年12月の「新しい経済政策パッケージ」では授業料減免と給付型奨学金の拡充が閣議決定されました。短期間の議論の後、2019年5月には大学等就学支援法が成立して、高等教育の無償化が「限定的に」進んでいます。しかしコロナ禍にある今、教育機会をめぐる経済的支援のあり方は喫緊の重要課題となり、広く国民的議論の必要性に迫られているのが現状ではないでしょうか。
学生支援の現状と課題について、教育機会均等、学生支援の根拠、戦後日本における学生支援制度の変遷等を踏まえながら、コロナ禍対応が迫られる現在を射程に検討いただきます。
チャプター2:学生経済支援
チャプター2では、学生への経済的支援の根拠である「教育の機会均等」という理念について検討しています。
学生への経済的支援の根拠は教育の機会均等の要請にあります。人種や性別、社会・経済的出身階層など、個人によって変えることのできない属性によって差別されない、そして、偶然性によって支配されることを最小にするというのが、教育の機会均等の考え方です。日本国憲法では、第26条において教育の機会均等を保障し、さらに教育基本法第4条3項において、国及び地方公共団体に対し奨学の措置を義務付けています。しかし日本では、教育の機会均等(教育の格差是正)について世論の関心は低いままです。
教育の格差の解消は社会経済的格差の解消の前提条件として重要であるにもかかわらず、現実では具体的政策に乏しく、地域間、男女間、所得階層間で様々な格差があります。
カテゴリ: 高等教育リテラシー形成